ラスベガスを後にした僕はバスで次の目的地、グランドキャニオンへ向かった。
グランドキャニオンへはどのくらいの時間がかかったかは忘れた。ただ、それまで夜でもT−シャツで過ごせた暖かさだったが、既に3枚も洋服を着なくては寒いまでになっていた。グランドキャニオンに行くにはフラグスタッフと言う町へ行かなくてはいけない。フラグスタッフからまたバスなどに乗ってゆかなくてはならないのだ。
 フラグスタッフへついたのは次の日の早朝だった。確か若干雪もちらつく寒さだったと思う。

 バスを降りてすぐ、グランドキャニオンへどうやって行くのかを人に尋ねると、どうやらツアーバスなどに申し込んでいかなければならないらしい。が、結構お金がかかるようでどうしようか悩んでいたら、「おい、君。君は何処へ行くんだ?」と白人のおっさんが話し掛けてきた。中肉中背の帽子をかぶった、ごく普通のおっさんは特に怪しいところもなく、まるで僕に道を聞いてくるように話し掛けてきた。
 「俺は今から、仕事の関係でグランドキャニオンの方へ行くのだけど、もしグランドキャニオンに行くなら乗せていくぞ。」
 「うん、グランドキャニオンへ行くよ。でも、お金がない。だからどうしようか考えてる。」
 「だったら、俺の車に乗っていけよ。ついでに乗せていこう。」「いや、お金がないからいいよ。ただなら乗せてもらうけど。」
 「ああ、いいよ。ただでいいよ」「え、ほんと?」と僕は非常に驚いた。フラグスタッフからはツアーバスだと3,4千円ぐらいで2時間ばかりの距離らしいと聞いていたからだ。
車はライトバンで中にはもう一人白人の青年が座っていた。彼と話すとどうやら彼も旅行客らしい。当然のごとく、彼の名前も覚えていないしそもそも彼とはあまり会話が弾まなかった。
 白人のおっさんは、「グランドキャニオンまでは2時間ある。向こうはお店とかも無いから途中のスーパーによっていくよ。そこでいくらか食事を買ったらいいと思う。」
と、フラグスタッフのバスターミナルから20分くらい行った所のスーパーに寄った。
僕らはそれぞれ買い物を終え、そこからさらに30分くらい車を進めたところで、ガソリンスタンドに寄った。

 だが事件が起きた。
ガソリンを入れ終えると白人のおっさんは「なあ君、35ドルでいいよ。」と僕に言ってきた。「はあ?何が?」と聞き返した。
「グランドキャニオンまでの運賃だよ。」「はぁ?さっき、ただっていたじゃないかよ。」
「え、そんなの冗談だと思った。」「冗談のわけねぇだろ。」
と、ここまで来ると僕はもうぶち切れた。この後は、日本語で暴れ始めた。
そしてしまいに、「てめぇ、なめてんじゃねぇぞこのクソがき。ぶっ殺すぞ。」とおっさんを軽くどつき、襟首つかんで怒鳴り始めていた。
それを見ていた、もう一人のグランドキャニオンへ行こうとしていた若い白人は車を降りて僕を止めに来た。
 それでも僕はまだ怒鳴っていたが、頭に気ながら今来た道を戻り始めた。
後ろからは「おい、何処へ行くんだ?」とおっさんの声がしたが、「町に戻るんだよ!このMotherFucker!(英語で一番汚い言葉)」と怒鳴って、てくてくと歩き始めた。
実はバスでグランドキャニオンに行くお金はもちろんあったし、35ドルも持っていた。が、だまされた行為がむかついたし、日本人だからってなめてんじゃないのかと思ったので、激怒した。

 時計は持っていなかったが、車で1時間くらい着た所のガソリンスタンドだったと思う。しかも全く地理が無かったし、秋服しか持っていなかったので冬になっているこの町ではとても寒かった。途中、親切なおっさんがかなりの間一緒に道を歩いてくれ、何でこのな所歩いてるのかとか、フラグスタッフのバスターミナルへ戻る事などを話した。

 かなりの時間を歩いたようだった。もう、くたくただったし、バスターミナルに戻ったのは夕方近くだった。戻った頃にはちょうどバスがきていたので、難なく乗る事ができた。
 さあ、気を取り直し、目指すはJazzの町、NewOrlings。
といっても、NewOrlingsまでは青森から名古屋くらいかそれ以上の距離がある。
まず次に目指すのはPhenix。Phenixはこの雪の降る町、FlagStaffとは違い、太陽が常に見える砂漠の町だ。このFlagStaffからはバスでも数日の距離だ。

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